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ニュースや新聞記事などで、頻繁に目にする「円高」や「円安」という用語。
円が米ドルに対して安いのか高いのか、といった概要をご存知の方が多い一方で、実態経済にどのような影響を及ぼすかはイメージしづらいのではないでしょうか。
実は日本企業にとって、事業活動を行う上で最も重要な指標と言っても過言ではありません。
そのため財務省含めた政府要人も為替に関する発言はとても慎重に行っているのです。
今回はどのような状況に「円高」や「円安」となるのか、その場合どのような影響があるのか、といった観点についてご説明したいと思います。
中でも最近円高方向に推移していることを踏まえ、円高によってメリットを享受する企業を取り上げ、株価動向やその背景について分かり易くご紹介したいと思います。
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目次
「円高」「円安」とは?
「円高」や「円安」とは、どういう状態を指すのでしょうか。実は絶対的な基準値のようなものはありません。
過去のある時点と比べて、「円高」になった、「円安」になったと表現されます。
円高や円安と表現される場合、通常米国ドルに対しての円の価値の変化を意味しています。
例えば1ドル120円から110円に変化した場合、米ドルに対して円の価値が上昇しているため「円高」と表現され、逆の場合「円安」と表現されます。
なぜ通貨の動きが何故日本企業にとって重要なのか?
主に以下の2点です。
調達コスト
日本は資源が少なく他の国からエネルギー源を輸入しています。
あるいは海外にある工場から必要な原材料を仕入れています。
例えば5ドルの部品を調達するとします。
1ドル100円の為替レートの時では500円ですが、1ドル120円の時は600円となります。
同じ部品を購入しているだけなのに、為替変動によって調達価格が20%も上昇してしまうのです。
このように、為替レートがどちらに動くかによって、企業の調達コストが大きく影響を受けるのです。
価格競争力
調達コストの反対側の話ではありますが、日本から海外に輸出する際、為替レートによって買い手側からすると購入価格が変動します。
例えば1個100円の部品を輸出する際、1ドル100円であれば1ドルで購入できますが、1ドル80円の円高になると1.25ドル必要となり、価格が上昇します。
価格の上昇は競争力の低下を意味しており、輸出産業にとっては逆風と言えるでしょう。
また最近になって為替レートは円高方向に変動しています。
すると上記の例に沿えば調達コストは低下する一方、価格競争力は低下することとなります。
つまり、海外から原材料を仕入れて国内で販売しているような企業群は円高メリットを享受することが出来ます。
ここでは円高メリット企業についてもう少し詳しく見ていきたいと思います。
「円高メリット」銘柄が上昇する理由は?
「円高メリット」関連銘柄が株式市場で注目されている理由は、為替変動による業績の改善です。
そもそも為替レート自体を正確に予想することは専門家でもかなり難しい領域です。
そのため、長期的な見通しに基づいて株式市場から注目を浴びることはあまりありません。
直近の為替レートや数か月先の政治イベントなどに基づいて予想が形成されるため、業績改善も短期的な時間軸での期待から注目が高まっていくことが通例です。
そういう意味では、円高方向に傾いている今は、円高メリット銘柄への関心が高まる局面と言えるでしょう。
3-1.円高に強い製紙メーカー!【3877】中越パルプ工業
製紙メーカーは、円高によって原燃料の輸入コストを軽減できるため、投資家から円高メリット関連銘柄と認識されています。
中堅製紙メーカーの【3877】中越パルプ工業は、直近で大きく上がっている円高メリット関連銘柄です。
同社の株価は、2019年4月終わりには1,402円を付けていました。
その後の円高局面で株価は上昇しており、7月には一時1,571円まで上昇。
円高局面で最大+12%の上昇となっています。
8月初めの急激な円高で、マーケットが全面安となった際には下落しましたが、下げ幅は限定されており、1,500円前後で推移し続けています。
3-2.似鳥昭雄会長は2019年円高予測!【9843】ニトリHD
家具やインテリア販売大手の【9843】ニトリHDは、円高メリット関連銘柄を代表する銘柄です。
同社は、海外にある自社工場での開発輸入品の販売が主であることから、円高によって大きなメリットを受けることが期待されます。
また、為替相場の影響を大きく受けるニトリが32期連続で増収増益を続けられているのは、創業者である似鳥昭雄会長の神懸かり的な相場観にあることは広く知られている所です。
そして、似鳥昭雄会長は、2018年末時点で「2019年は1ドル100~110円の円高になる」と予測していました。
同社の株価は、2019年4月末時点では13,250円を付けており、5月にはいったん下げましたが、6月以降は反発して7月には14,990円まで上昇。
この期間に最大+13%の上昇となっています。
8月初めの急激な円高による全面安局面においても全く動じずに推移しており、同社が円高に強い銘柄であることが改めて浮き彫りとなった格好です。
・株式市場はあくまで短期的な為替レートの見通しに基づいていつので、注目される期間も短期で終わることが多い
「円高メリット」銘柄
【3382】セブン&アイホールディングス | 「イトーヨーカドー」や「そごう」など多様な小売業を展開する総合小売企業。国内売上高の割合高く円高メリットを享受しやすい。 |
【7453】良品計画 | 「無印良品」を全国規模で展開している企業。衣料品や雑貨などはアジアから仕入れている商品も多く、円高メリットを享受しやすい。 |
【9983】ファーストリテイリング | 「ユニクロ」や「ジーユー」などの衣料専門店を全国規模で展開している企業。海外展開を強化しているものの、主力の国内事業で円高メリットを享受しやすい。 |
【9861】吉野家ホールディングス | 牛丼チェーンの「吉野家」や「はなまるうどん」などの多様な業態を展開している外食企業。牛肉を米国から輸入しており、円高メリットを享受しやすい。 |
【8267】イオン | 「イオン」や「マックスバリュ」業態を手掛ける国内トップクラスの総合小売業。主力は国内店舗であり、円高による調達コスト低減効果あり。 |
【9990】サックスバーホールディングス | 「サックスバー」などのブランドでカバン専門店や財布専門店を全国の商業施設中心に出店。海外経由の商品が多く円高メリットを享受しやすい。 |
【8227】しまむら | 衣料専門店の「しまむら」や子供服専門店の「バースデイ」などを展開する企業。主な商品の衣料品は海外経由が多い。 |
【9982】タキヒヨー | しまむらなどの衣料専門店向けに衣料品を中心に供給する専門商社。海外経由の商品を取り扱うことから円高メリットを享受しやすい。 |
【3197】すかいらーくホールディングス | 「ガスト」や「ジョナサン」などの有名ブランドを多数有する国内トップクラスの外食チェーン。輸入食材なども取り扱うため円高メリットを享受する可能性。 |
【3087】ドトール・日レスホールディングス | カフェ業態の「ドトールコーヒー」や「五右衛門」などのレストラン業態を手掛ける外食企業。コーヒー豆は輸入のため円高によるコスト低減効果あり。 |
おすすめ「円高メリット」
【9994】やまや
市場 | 東証一部 |
業種 | 小売業 |
単位 | 100株 |
関連企業 | MrMax、コジマ、エディオン |
企業概要 | 「やまや」のブランドで種類専門店を全国的に展開する。グループ企業にチムニーを有する。 |
注目ポイント
ワインを数多く取り扱っており、円高シフトは仕入原価に繋がるため業績面ではポジティブ。円高メリット関連銘柄として注目される可能性がある。
【2782】セリア
市場 | JASDAQ |
業種 | 小売業 |
単位 | 100株 |
関連企業 | キャンドゥ、ワッツ、ローソン |
企業概要 | 100円ショップ「セリア」を全国規模で展開している企業。 |
注目ポイント
雑貨類は中国を始めアジアから調達した商品が多く、円高メリットを享受する銘柄として注目されやすい。
【7874】レック
市場 | 東証一部 |
業種 | 化学業 |
単位 | 100株 |
関連企業 | エステー、アース製薬、ライオン |
企業概要 | 「激落ちくん」ブランドを有する日用品の製造・販売を手掛ける企業。大口顧客に100円ショップを抱えている。 |
注目ポイント
円高によって調達価格が減少することからメリット享受企業として注目される可能性がある。
・特に雑貨や衣料品などの日用品回りは輸入商材が多いためメリットを享受しやすく注目される可能性が高い
まとめ
日々変動している為替レート。
日本は輸出産業が中心ですから、どちらかと言えば円安の方がメリットは大きいと言えます。
そのため1ドル80円近辺で推移している期間は、円高デメリットが強調されてきました。
しかし、実は円高によってメリットを享受している企業も存在していたのです。
そして安倍政権誕生以降、日本円は円安が進行してきました。
今度は輸出産業を中心に追い風の事業環境下にあったと言えるでしょう。
一方で最近では、再び円高への動きも出始めています。
為替レートを予想することは非常に難しく、プロでも間違えることが当たり前にあります。
そのため、株式市場は短期的な見通しから投資対象を入れ替えています。
「円高メリット銘柄」と「円安メリット銘柄」を常に手元で把握し、素早い相場変動に対応していく必要があるでしょう。